日経平均が大幅下落すると、追い証売りが発生する
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日経平均の下落が続くと、どこかのタイミングで大幅下落が起こる。
ピークを過ぎた株・銘柄はもちろん大きく下げるし、逆行高で上がっていた株まで、上値が急に重くなり、上昇が止まる。
株価が下がり始めると利益確定の売りが増え、さらに空売りによる売りも増えてくるから、下落に勢いがついて大暴落になることはよくある。
ただしこれは通常、特定の株・銘柄についての話で、他の株・銘柄の値動きとは直接関係がない。
ところが日経平均が連続して大幅に下がると、関係ないはずの株・銘柄にまで影響が及び出す。
つまり他の優良株まで巻き込み始めるのだ。
その原因の一つが追い証売り(おいしょううり)というものだ。
追い証売りというのは、信用取引で売買している人が、追い証を回避するための売りで、株価が全面安の時に起こりやすい。
建玉の含み損が急激に膨らんで保証金維持率が下がり、保証金の追加(追い証)を避けるために、買い建てた株を売り戻し始めるからである。
この場合、含み損を抱えた建玉を損切りして売りもどすか、含み益がある建玉を売りに出すかという選択肢がある。
そこで地合が悪いために一時的に下がっている株は残して、含み益がある建玉を売りに出す投資家が出てくると、上昇中だった株価の上値を抑えてしまい、順調だった株まで上がらなくなってしまう。
これがつまり、追い証売りというものだ。
保有株が逆行高でも、日経平均には要注意!
追い証売りとは、信用取引をしている投資家が、追い証(保証金の追加)を避けるために、買い建てた株・銘柄を売ってしまうことだ。
信用取引は、あらかじめ振り込んだ保証金で、2~3倍程度の売買を行う取引だが、保証金維持率は30%以上に保たねばならない。
保証金維持率が30%より小さくなると、警告が来たり、追い証の振り込みを求められたりする。
追い証がどの時点で求められるかは、利用している証券会社それぞれなのだが、建玉に含み損が発生すると、その分は保証金から差し引かれて保証金維持率が計算されるようになる。
そのため、90%以上の銘柄が値下がりするような日経平均の大幅下落が起こると、含み損が急激に増えて保証金維持率が大きく下がる。
通常は、上がる株もあれば下がる株もあるので、全体としては収支トントンくらいで推移するが、全面安となると殆どの買い建てで含み損が発生するわけだ。
そうなると、信用取引している投資家は、追加の保証金(追い証)を振り込むか、現在立てている建玉のいくつかの反対売買を行って、建玉の整理を行わないといけなくなる。
そこで逆行高で上昇中の優良銘柄まで、売りに出されてしまうから、下落が飛び火する。
日経平均の下落が続くと、こうやって追い証売りが出て、大幅下落の株のために、優良株まで下がってしまうわけだね。
なので、保有株が逆行高であっても、日経平均の大幅下落には注意が必要だ。
あれあれ、なんでこの株が下がり出すんだろう?と思って、日経平均を見たら300円を超える下落になっていた、…なんてことは、確かによくあるね。