ADR(米国預託証券)とは
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ソニーやトヨタなどのADR/EDR銘柄は、円高リスクが非常に大きい。
ちょっと円高になっただけで、業績が良くても株価が下がってしまう。
為替レートに敏感に反応する株を、「為替敏感株」等と呼ぶのだが、ADR銘柄は特に注意が必要だ。
というのもADR銘柄はドルで売買され、EDR銘柄はユーロで売買されるため、円高になるとそれだけで株価が上がってしまい、そこで利益確定売りが出てしまうのだ。
特に決算発表と業績見通しが出た後などは要注意で、業績見通しが良かろうが悪かろうが、材料出尽くしで利益確定売りが出てしまう。
これがソニーなどのADR銘柄では、極端に出てしまうというわけだ。
このADR/EDRとは、日本企業が海外の市場から資金を調達するための仕組みだ。
企業が資金を集める場合、通常は自国の株式市場から資金を調達し、取引も自国通貨で行われる。
ところが資金を調達しようにも、自国経済の状態や株式市場の環境が良くないと、なかなか必要な資金が集まらない。
そこで日本やドイツの企業の場合は、銀行から融資とは別に株を引き受けてもらい、その資金で投資を行っていたわけだが、国際的な銀行の取り決め(BIS規制)によって、銀行が企業の株を持つことが難しくなった。
これでは必要なときに必要な資金が調達できないので、アメリカやヨーロッパの株式市場で資金を調達するために、一流企業はADR上場を行うようになったワケだ。
因みにADRはアメリカの株式市場で、EDRはヨーロッパの株式市場で取引される。
ADRの特徴とリスク
ADR銘柄とは、アメリカの株式市場で取引される株・銘柄のことだ。
2013年時点では、アドバンテスト、キヤノン、日立製作所、ホンダ、コナミ、クボタ、京セラ、三菱UFJFG、みずほFG、日本電産、NTT、野村HDS、NTTドコモ、オリックス、パナソニック、ソニー、トヨタ自動車などといった、超一流企業がADRで上場している。
ADR上場はアメリカの証券扱いになるので、会計基準をアメリカ仕様にしたり、アメリカの証券取引委員会 (SEC) のルールに従わなければならない。
しかしADR上場されると世界的な知名度が上がり資金調達も楽になるため、上場に数十億円の費用をかけて取り組む企業もある。
ADR銘柄の特徴は色々あるが、ADRはあくまでもアメリカでの株取引で、日本での取引とは根本的に違うということだ。
たとえば日本では1000株単位で取引されている株・銘柄でも、ADRではもっと少ない単位で取引される。
100株単位や10株単位などはまだ当たり前で、20株で1単位とか、場合によっては4株で1単位とか、預託銀行が勝手に基本単位を決めているのだ。
というのも資本主義の総本山であるアメリカでは、株式投資は一般市民も参加すべきものであり、何十万も何百万円もないと取引できないような株なんて許されないのだ。
そのために日本では50万円とか100万円出さないと、取引できないような一流企業の株でも、ADRでは数千円から数万円で取引できる。
またオプション取引も可能なので、東証での取引とは違った動きを見せるわけだ。
そして日本と時間差のあるアメリカやヨーロッパの市場で取引されるため、夜のウチに大きな動きがある場合も多い。
企業の重要な発表も、日本の場合は取引が終わった午後3時以降や、土日に行われることも多いのだが、ADRでは発表によって株価が大きく動き、その結果のみが日本株に及んだりする。
なので朝起きたら、えらい株価が動いているなんてことはざらにある。