大型IPOなら儲かる? いや長期保有が前提
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数年に一度かは、大型IPO案件がある。
2010年には第一生命保険、2013年にはサントリー食品、2015年には郵政三社(日本郵政・かんぽ保険・ゆうちょ銀行)などなど。
これらの企業は巨大企業だが、今まで株式を上場しないでいた。
というのも内部留保や銀行借り入れで、経営資金が十分賄えたからだ。
しかし様々な理由から、株式を上場して、市場から資金を集めようということになり、新規上場をしようと言うことになったワケだ。
ではこれらの大型IPO案件は、その後どうなったのか。
いくつかその例をチャートで見てみよう。
まずは、90年代末のNTTドコモ以来の大型上場だと騒がれた、第一生命保険の株のその後だ。
大型IPO案件その後(第一生命保険/8750)
公募価格1,400円、初値1,600円(10/04/01)、上場来高値2,665円(15/08/11)
第一生命保険の新規上場は、2010年の4月で、公募価格は14万円、初値は16万円だった。
しかしその後の株価は伸び悩み、売り優勢で初値を下回りつづける。
初値を高値ブレイクするのは、それから3年も後のことで、株式分割(100分割)されたくらいから、ようやく上昇トレンドに入った感じ。
こういう大型IPOの場合、巨大な資金がないと買い上がれないので、そう簡単には株価が上がらない。
言わば「機関投資家向き」の銘柄で、個人投資家が束になって買い上がっても、国内外の巨大投資家の売買に掻き消される。
巨大投資家の売買を予想しながら、それに乗っかる形でしか利益は取れないだろうね。
大型IPO株の株価のその後
大型IPO案件のその後。
次はサントリー食品だ。
サントリーは1899年(明治32年)に、鳥井信治郎氏が作ったワインメーカーだ。
太陽(SUN)と鳥井の名前を取って、サントリーという商号にしたらしい。
ワインの輸入販売から製造に手を広げ、ウイスキーの製造販売で財をなした。
言わば「洋風造り酒屋」が大発展して大企業になったようなモノだが、「酒造りは利益を出すまで時間がかかるので、短期でどうこう言われたくない」ということで、非上場で経営が続いている。
しかし株式上場が必要になる時も来るのでは?ということで、いくつかの子会社を上場している。
BOSSコーヒーや、伊右衛門、ペプシなどを扱うサントリー食品インターもその一つで、2013年に株式市場に新規上場している。
連結売上高が1兆円を超えているので、子会社といえども大型IPOとみて良いだろう。
大型IPO案件その後(サントリー食品インター/2587)
公募価格3,100円、初値3,120円(13/07/03)、上場来高値5,770円(15/08/18)
こちらはIPO後、ジワジワと株価が上がっている。
これは積極的に国内外の企業と提携を進め、事業をどんどん拡大しているのが理由だと思われる。
一方、こちらは新規上場ではなく、再上場銘柄のリクルートのIPO後の例。
大型IPO案件その後(リクルートホールディングス/6098)
公募価格3,100円、初値3,170円(14/10/16)、上場来高値4,315円(15/04/23)
リクルートのIPO後の株価は、右肩上がりではなく、必ずしも好調とは言えないが、初値を下回らずに推移している。
IPO後の上場初日に買った人は、みんな含み益を抱えているってことで、これはIPO成功例と言って良いだろうね。
2015年は郵政3社のIPOも控えているが、果たしてどういう値動きになるんだろうか。