ソニーの株価が下がったわけ
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2010年のギリシア国債のソブリンリスク(国債や政府保証の債権のリスク)問題に端を発した株安で、日経平均は1万円を割り込んだ。
4月5日を境に下げの日がドンドン増えていき、5月のゴールデンウイーク明けから、上がる日は殆どなくなった。
11400円から9600円台まで下がったので、約15%の下げだ(5月21日現在)。
日本の主力輸出企業が軒並み株価を下げている。
5月10日前後に有名企業の決算発表が集中していて、多くの企業が好決算や黒字転換、今期の業績見通しは良さそうだ発表をしているのに、なぜか株価はドンドン下がっている。
特にソニーなどは赤字予想に反して黒字に転換し、さらに業績は良くなると言う発表であったにもかかわらず、連日株価が下がるという異常現象だ。
テレビ東京の11時の市況情報でも、「上がってもいいハズなんですけどねえ」というコメントが連日流れていた。
このとき実は私も決算前にソニー株を買っていたが結局、何万円も損してしまった。
3100円で買ってよもや3000円の大台は割らないだろうと思っていたのだが、そんな甘い考えをあざ笑うかのように、あっという間に2800円台まで下がってしまった。
ストップ安までになれば、さすがにあきらめて売るのだが連日5%ずつ下げるという嫌な下げ方。
明るい材料ばかり出てきているのに、一体なぜ?????はてなマークが何十コも頭の中に浮かんだが、原因は「ユーロ安」と「ADR(米国預託証券)」だった。
ユーロ安で、株価はなぜ下がる
ユーロ安とは日本円とユーロの交換レート(為替レート)で、ユーロが安くなったと言うことだ。
ユーロというのはEU(ヨーロッパ連合)の統一通貨で、1999年1月1日に本格的に流通が始まった。
事実上、第2の基軸通貨だ。
基軸通貨というのは、世界の貿易で用いられる通貨のことで、第二次世界大戦後ずっと、アメリカ・ドルが世界中で用いられてきた。
要するに外国からモノを買うには、ドルでないとダメだったわけだね。
それがユーロという新しい通貨の登場で、ユーロでも貿易決済が行われるようになった。
EU諸国と貿易する場合には、ユーロも使えるようになったわけだ。
日本の輸出産業もEU諸国との貿易では、ユーロを使った方が有利な場合が多いようで、だからこそ円とユーロの交換レート(為替レート)が、企業の業績に大きな影響を与えるようになったわけだ。
でユーロ高はどのように業績に影響するのか?といえば、ユーロ高になると2つあるらしい。
それは
- 想定レートより下がると赤字になる可能性がある。
- ユーロ建てで株価を見たときに高くなるのでヨーロッパから利益確定売りが出る。
外国で活動している企業の場合、決算は日本円に直して計算するので、ユーロ安になると売り上げや利益が減り、業績が悪化することになるのだ。
またソニーのような国際的企業の場合、ニューヨークやロンドンなどの株式市場でも株がドルやユーロで取引されているため、ユーロ安やドル安で円高になると、その分株価が上がってしまうのだ。