ナンピン買いとは、ただの「トリック」?
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「ナンピン買いや塩漬けは損」。
株式投資で儲けた人の本には、共通して必ずこう書いてある。
ナンピン買いとは、保有株が下がったときに、損切りするのではなく買い増しして、平均購入単価を下げると言う買い方だ。
(ちなみにこれは「ナンピン買い下がり」という)たとえばA社の株を300円で1000株ほど買ったとする。
このA株が予想に反して値下がりして200円になったとする。
こういう場合、同じA株を1000株さらに買い増すと、一株当たりの平均購入単価は250円になる。
そしてもしA株が250円以上になったときに売り抜ければ、利益になると言う買い方だ。
だけどこれって一種のトリックのようなものである。
言ってみれば帳簿上にマイナスが付かないと言うだけで、例の場合は250円で売却すると300円で買った株の損失を、200円で買った株で得た利益で隠しているだけに過ぎない。
職業トレーダーのように、他人や会社の金を動かして利益を上げることを仕事としている人にとっては、ナンピン買いというのは重要なテクニックだろうが、個人投資家には関係ない。
職業トレーダーの場合は何をどれだけ買って、何をどれだけ売ったかを報告する必要があって、その報告書に損を出す取引がたくさんあると格好が悪いから、ナンピン買いをして損を隠すようなことをしているだけである。
個人投資家は他人に対して取引を見せる必要がなければ、トータルの資産が増えているか減っているかだけが問題なら、実はナンピン買いなんてなんにも意味がない。
ナンピン・塩漬けは自殺行為
保有株が右下がり(下降トレンド)にあるのに、それをさらに買い増すなんて、よくよく考えたら自殺行為である。
株を買い付ける前なら、上がるかどうかは分からないから構わないが、買ってドンドン下がっているなら、すぐに損切りしないと出血がひどくなる。
私なんかもよくやるが「上がる」と思って買い付けたら、買った瞬間からドンドン値下がりして、そこで損切りしておけば大したマイナスにならなかったのに、つい持ち続けてしまう。
「上がる」と思って買い付けているわけだから、どうしても下げている現実が受け入れられない。
というか翌日か翌々日には上がるだろうと言う気分で持ち続けるわけである。
ところが二日たっても三日たっても下げ止まらない。
でもまだ「上がる」と思っているので、ついナンピン買いをしてしまったりするわけだ。
ところがここでナンピン買いなどしてしまったら、さらに出血がひどくなってしまう。
マイナス要因が2倍にも3倍にもなってしまうわけだから、損がふくらむ速度がさらに大きくなってしまう。
でもってあっという間に何万円も損してしまって、泣く泣く損切りする羽目になるわけだ。
もちろんそのまま持ち続けたら、ひょっとすると株価が回復する可能性もないではないがしかし「塩漬け」になった株は、滅多なことでは上がらないのでどうしようもない。
ナンピン買い下がりをしても良いケースは、あくまでも株価が反発して上がっているケースであって、下落トレンドにある株をナンピン買いしたら、出血が増えるだけだ。
つまり株の売買というのは結局、上がってる株を買い下がっている株を売る、これしかないわけだね。