先物主導で日経平均が動くのはなぜ?
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先物(さきもの)が下がると、株価が下がる。
株価ニュースなどを聞いていると、「先物主導で、株価が下がった」「先物主導で、株価が上がった」なんていう話をよく耳にする。
日経平均先物が上がると、実際の日経平均株価が上がり、日経平均先物が下がると、実際の日経平均株価が下がる。
こういった状況になると、こういうフレーズが出てくる。
ところがこれって考えたら、かなり不思議な現象だ。
というのも日経平均株価というのは、東証1部の225銘柄の平均株価だから、225の企業の実際の株価の平均値である。
一方、日経平均先物とは、近い将来の日経平均株価を予想して、それをトレーダー間でやりとりしているだけで、実際の企業の株価とは、直接的には関係していない。
ところがこの日経平均先物が、現物株に影響を及ぼすというのだから不思議な話だ。
競馬で、馬が実際に競争する前に決まったオッズ(人気予想)が、実際に走る馬の順位に影響するみたいな話で、これって一体何なんだろうなあ?とずっと思っていた。
そしてまた、それぞれ価格の決定方法が異なるから、決済する時点には必ず差ができて、決済金の差額は誰が負担するんだろう?というのも疑問だ。
ということで、先物取引と、現物取引の関係について、ちょっと調べてみた。
先物取引はなぜ行われる?
先物取引(さきものとりひき)とは、将来のある時点での売買を約束する取引だ。
たとえば「牛肉1トンを来月末に1億円で買う」、と言う契約をするのが先物取引だ。
来月末の牛肉1トンの相場価格は、来月末になってみないと分からないが、確実に来月末に牛肉を買いたい場合、こういう風に先物取引で商品を押さえるわけだ。
牛肉を売る側も、来月末に売りに出す肉が、果たして売れるのかどうかは不明だから、こういう風に前もって買い手と契約しておく。
来月末に牛肉が暴騰したら肉屋は儲け損なうし、買い手は高い牛肉を買わずに済むので儲かる。
逆に牛肉価格が暴落していたら、肉屋は損せずに済むが、買い手は高い牛肉を買う羽目になる。
しかし先物取引を行えば、たとえ多少損があっても、買い手は必ず牛肉を手に入れられるし、売り手も必ず現金を受け取ることができるから、肉が買えないとか、肉が売れないというリスクをなくせる。
これがつまり先物取引が行われる理由だ。
ただし、商品先物取引市場には、商品の売り手や買い手以外の人も参加する。
というのも、売買するのは「権利」であって、誰が売っても買っても良いことになっているからだ。
なぜ商品に直接関係ない人が市場に参加するかというと、実際にモノを売買する人の何倍もの人が参加しないと、市場で売買がうまく成立しなくなるからで、経済学などでは「市場の失敗」という。
市場取引では、売買したいときに、いつでも売買できることが重要なので、実際に売買する商品を持っていなくても、先物市場に参加することができるのだ。
一方、日経平均先物とは、日経平均株価(225銘柄の平均)を売買するもので、インデックスファンドと呼ばれる、実態のない取引だ。
ところがこれが、実際の株価に影響するんだよね。