日証金(にっしょうきん)とは
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日証金(にっしょうきん)とは、日本証券金融という会社で、株を買うための資金を融資したり、空売りするための株を融通する会社だ。
金を借りて株を買うのを「信用買い・買い建て」、株を借りて株を売るのを「信用売り・売り建て」または「空売り」と呼んだりするが、これを請け負うのが日証金という会社だ。
ただし日証金が扱っているのは、各証券会社の過不足分を埋めるだけで、証券会社は、自社内での買い建てと売り建ての差額だけを、日証金に融資・融通してもらっている。
つまり、ある企業Aの株が100万株買い建てされていたら、その100万株を別の投資家に貸株できるわけで、買い建て資金を自社内で融資できなくなって初めて、日証金に融資を申し込む。
逆に、投資家に貸せる株が不足したら、その不足分だけを日証金に融通してもらうというわけだ。
ただしこういう風に日証金から株を借りることができるのは、「制度信用銘柄」と呼ばれる銘柄だけだ。
日証金というのは、大企業の大株主や、機関投資家から株を大量に預かっていて、それを貸し出しているだけなので、扱っていない銘柄も多い。
それぞれの銘柄の、信用取引区分という項目に、「貸借」(たいしゃく)とか「信用」という風に書いてあるのだが、貸借銘柄でないと、株を借りることはできない仕組みだ。
空売りできるかどうかは、信用取引区分でわかる
- 貸借銘柄…株を借りることができる銘柄(空売り可能)
- 信用銘柄…株は借りられないが、株を買う金は借りられる銘柄(空売りできない)
逆日歩がつくと、空売りはピンチ
株を空売りして儲かるのは、株価が下落トレンドにあるときだ。
空売りというのは、先に株を売って、それをまた買い戻すという売買法で、株価が右肩下がりでないと儲からない。
そこで、株価が下がりだして下落トレンドになると、空売りで儲けようとする投資家が、大挙して集まって株を借りて売り始める。
ところが借りることのできる株数には上限があって、日証金が大株主や機関投資家から預かっている株数以上には、株を借りることができない。
そこで貸せる株が不足してくると、日証金は、その企業の大株主やその銘柄を大量保有している機関投資家に対して、「賃料を上乗せするので、株を融通してくれ」と依頼する。
この上乗せ貸株料が「品貸し料」で、逆日歩(ぎゃくひぶ)と呼ばれる。
逆日歩というのは、株を借りている人が、株を持っている人に支払うプレミアム賃料で、たいていの場合、1日1株当たり1円くらいの逆日歩が発生する。
つまり、株を1万株借りて空売りしていたら、1日当たり1万円を追加して支払わねばならないわけだ。
そしてこの品貸し料はなんと、株を借りている人全員に課されるので、品貸し料・逆日歩が発生すると、株を空売りしている人は、株を買い戻す動きを起こす。
なので逆日歩が発生すると、株価は上がることが多い。
逆日歩2円
※この銘柄の場合は、逆日歩が2円ついている。