見切り千両、損切り万両
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株式投資でよく言われる格言に「見切り千両、損切り万両」というのがある。
「見切り千両」とは、「成功の見込みのないモノを、あきらめるのは千両の価値がある」。
、「損切り万両」とは、「損を垂れ流しているモノを、処分するのは万両の価値がある」。
経済学には「機会費用(きかいひよう)」とか、「機会損失(きかいそんしつ)」という言葉があるが、それに近い意味だろうか。
機会費用というのは、資本(お金や土地や生産設備)を遊ばせておくと、その資本を投資した場合に得られる見込み分の利益を損していることに等しい、という考え方である。
たとえば百万円のお金があったとして、それを投資に回せば5%の利回りがあるとする。
つまり1年間で5万円の利益が上がるわけだ。
ところがこの百万円をタンスに一年間しまっておくと、利益は当然発生しないから、何にもしないと損をしているという風に考えるわけである。
また機会損失(チャンス・ロス)というのは、売れる商品を十分な分量仕入れずに、売り損なうという場合に使われる言葉である。
お店としては並べた商品が全部売れると、儲かっているような気になるが、もう少し仕入れておいた方が、多少売れ残ったとしても利益が増える場合がある。
売れる商品があるのに、それを仕入れずに、みすみす儲け損なってしまうのが、つまり「機会損失(チャンス・ロス)」というものなのだ。
隣の芝生は本当に青い
「隣の芝生は青く見える」ということわざがある。
自分の庭にも芝生はあるが、隣の庭の芝生の方が青々していて、素晴らしく見える。
しかし実際は、そんなに違いはなかったりするんだよ、という話で、他人をうらやむなということである。
しかし株式投資の場合、このことわざは、当てはまらなかったりする。
たとえば手持ちの株が全く上がらず、狙っていた別の銘柄がドンドン上がっていく、なんてことはしょっちゅうだ。
全くノーマークの株がドンドン上がっている場合は、「ふーん、すごいなー」ということで終わりになるが、ずっとマークしていた銘柄が上がっているとなると、とたんに胸がざわざわしてくる。
買い付け余力があれば、その株も買ったのだが、それだけの資金がなかったために、別の株と比べて別の方を買い付けた。
しかし今持っている手持ち株は、色んな情報を考慮して判断した上買い付けたわけだから、保有株を手放して別の株を買い付けるのは、どうかな?と思って躊躇したりする。
だがこういうときは「見切り千両」で、手持ちの株をさっさと処分して、上がっている株に資金を移すほうがいい。
手持ちの株は、とりあえず今、価格が停滞しているので、売ってもまた買い戻すことができる。
だがしかし、上がり始めた別の株は、いつ上げが終わるか分からない。
そう言うときは、停滞している株を一旦見切って、上がり始めた株に投資するのが正解なのだ。
隣の芝生が本当に青かったりするのが、株式投資の面白いところである。