日経平均2万円台回復!でも、なぜ?
更新日:
2015年4月10日、日経平均は、15年ぶりの株価2万円を回復した。
2万円を回復したといっても、9時過ぎのほんのわずかな時間に2万円台に乗っただけではあるが。
ニュースなどでは、この一瞬の出来事を、まるで日本経済の復活のように報道されたが、それを真に受けている投資家は少数派だろう。
というのもこの株価2万円台回復は、日本の大企業がめざましい業績を上げて達成されたものではないからだ。
日本の大企業の業績が上がっており、さらなる業績アップが見込めるなら、海外の投資家が黙っていない。
日本の株式市場の6割りを占めるのは、外国人投資家で、彼らが買えば株価が上がる。
だから外国人投資家は3兆円買い越した2012年後半や、15兆円も買い越した2013年の前半には、9,000円を大きく割っていた日経平均は、1万5,000円台まで回復した。
つまり外国人投資家が日本株を買うと株価が上がるのだ。
日経平均株価の推移・月足(2005-2014)
ところがこの外国人投資家、2014年にはどうしたかというと、実は約1兆円の売り越しになっている。
大きく売り越しもしないが、大きく買い越しもしない。
日本市場から資金を引き揚げてはいないが、追加で買い増すということもしていない。
なのに2014年後半から2015年の春に掛けて、日経平均はなぜか右肩上がりの上昇だ。
これは一体どういうことなのかというと、日本の国内勢が日本株を買っているらしい。
その主役がGPIFという「年金運用ファンド」だ。
日経平均2万円回復は、GPIFバブル?
2015年に2万円台を回復した日経平均株価。
日経平均株価が上昇する場合、外国人投資家の買い越している場合が多いが、今回の2万円台回復は様子が違う。
というのも海外勢は2014年に日本株を買い増していないからだ。
それどころか約1兆円の売り越しで、2013年の水準から殆ど変わっていない。
海外の機関投資家は、AIIBによって成長が期待される上海市場の方に資金をシフトしているようで、リーマンショック以来、ずっと低空飛行だった上海株が、2014年後半から右肩上がりに上昇しているのだ。
AIIB構想で動き始めた?上海株・月足チャート
海外勢が日本株を買わずに上海株を買っているとすれば、一体誰が日本株を買っているのか?それがGPIFという「年金運用ファンド」を中心とした、国内の機関投資家達だという。
実はこのGPIF、2013年の7月に、年金の積立金の運用比率を、債権から株式に大きくシフトさせるプランが浮上した。
それまでは約50%を国債など国内債券で運用していたが、日本国内の債権の利回りは非常に低いため、国内債券での運用比率を35%まで下げて、替わりに内外の株式や、外国債券で運用することにしたのだ。
この運用比率変更によって、約10兆円前後が、債券市場から株式市場に流れ込んでいるらしい。
つまり海外の投資家が日本株を買い越していないのに、日経平均が2万円まで上昇した最大の買い手は、GPIFを初めとする日本国内の機関投資家ということらしい。
これは日経平均と外国人投資家の売買差額累計を、グラフ化してみると、よりハッキリする。
日経平均と、外国人投資家の売買差額累計・週足
このグラフから想像するに、GPIFの運用比率変更がなければ、日経平均株価は1万5,000円から1万6,000円くらいだったはず。
要するに今回の2万円回復は、GPIFバブルって事だな。